また1つ基本法が増えそうだ。地球温暖化対策の基本法である。ないよりはあったほうがましかも、と思うのだけれど、気になる点があった。経済産業省と重工などの業界はずいぶん有頂天なのではないだろうか。なぜかというと、排出権取引の方法で原単位方式を認めたこと、原子力発電の推進を明記したからである。これは、彼らにとっての成功だろう。
基本法はある理念を追求している姿勢を、政府が示したい場合につくられる。シンクタンクが調査などして、基本計画が整備され、はい実質的には終わり。事後点検する頃には、みんな忘却中。これがよくあるパターン。でも気をつけないと個別法の上位に来るので、後で作る法律を縛ることがある。教育基本法、男女共同参画社会基本法、食育基本法などが記憶に新しい。環境関連では循環型社会形成推進基本法などがあった。なかには、少子化社会対策基本法、特殊法人等改革基本法など、作られても明らかに事実として実効性に乏しかったものが頻出する。ということは、この法案が通っただけでは、なにも期待ができないわけである。
結局、基本法は具体的なことは決めない。だから反対派を説得しやすく、世間はなんとなくそれで何かが進展したかのような気になる。政府も何かしているそぶりを演出しやすい。それなのに妙に具体的に気になる部分が一部明記されているのは、いかにも裏がありそうではないか。環境省と経済産業省あたりでなんらかの取引があったに違いない。官僚たちのやりくちは芸が細かい。マスメディアは相変わらず、官庁の関連筋から上手に流される話を、まるで広報のように報じている。
幸い情報公開されている様々な委員会などの議論を丁寧に追うことで、官僚の意図がだいぶわかる。「何かを前向きにやるぞ」、という報道がなされるときには、大抵「重要なことをやらないための小さなガス抜き」が企図されている場合が多いので、注意してみるとバレバレである。内部の関係者はみんなわかっていて沈黙。メディアはわかっているのか、いないのか、専属広報のまま。官僚たちからみれば、民主党など赤子の手をひねるより容易く操れる、という説はどうやら本当らしい。