ロンドン南部をうろついてブリクストンにハマった

 今夜でイギリス滞在も最終日となり、ついに日本食恋しさにYo Sushiに入ってしまった。イギリス最大規模の日本食チェーンです。駅ナカにあるので怖いもの見たさもあり、ついに。店内に日本人とおぼしき人は私しかいいないのですが、「いっただきま〜す!」とか「かんぱ〜い』とか日本語アナウンスが突然入ると、ビクッとする。なんだこりゃ。味はやっぱし×××.....。

アフリカ柄を着た日Black Culture Museumで
干されたうなぎみたいな魚もいる
美しく整備されたカントリーの住宅地から、特に選んだわけでなく決めていた宿泊先がBrixton。そこで私はこの街に恋してしまったようです。私が興奮して喜んでいたら、ホストにあなたはこの街にfall in loveと言われたので、表現頂戴しました。ミックスカルチャーのごたごたしたところ。育ちが名古屋(東西の混じるところ。ビレッジヴァンガード発祥、結果B級グルメ発達)で、学生時代は下北沢にいたしどうしても純度の高い綺麗なところには居心地の悪さを感じてしまうらしい。だいたいマーケットがあるところに出没してしまう。Brixtonには何でもありますよ。しかも滞在先は子どものいるレズビアンカップルでした。イギリスの最も保守的な家族から、最もリベラルな家族に移動したことになるのかな。どちらも個性あるホスピタリティの方々。

各国の旗がひらめくMarket Village
Brixtonを離れたあとはWaterlooに移動。どちらも、Lambeth地区にあります。ロンドン南部というと、日本人の治安情報ブログなどではあまりよろしくないとかかれていたりもするのですけれども。ここしばらくは調査地も含めてずっとテムズ川の南あたりをうろついています。

 いろんな問題はあるのかもしれないけどこの街もそうだし、この国には前を向いて進むバイタリティがある。テロとか火災とか突然起きるリスクを、「心配しててもしょうがない」と力強く語る人が多い。ルーツの多様性がある社会を、難しいけどもなんとかやっていこう、という一人一人の努力が続いている。不正には抗議をし、表現する。
 駅の本屋には心理学より社会学がたくさんならぶ。もちろん、階級や民族やジェンダーの越境が熱心に語られている。ちょっぴりそんなところがうらやましい。
 でも、ああ、そろそろまともな日本食にありつきたい。スパイシーシーフードウドンとか意味不明なメニューじゃなくて、たぬきうどん、とか!ではさよなら、ロンドン。

ダヴェントリー:小さな街のブリティッシュマインド

 ロンドン:ユーストン駅から電車で1時間と15分ほどでlong buckbyという小さな無人駅に着く。休日は停まらない電車も多いようだ。まるで北海道を旅しているような錯覚に陥るほど広々かつ青々とした自然の空間を車で10分ほど走り抜けると、美しく計画的に整えられた街並みが広がっていたら、そこがDaventryであった。ここは古い歴史ある街で、いまは農村ともいえず都市郊外ともいえないイギリスの小都市である。
中心市街に向かう道には店はない
滞在を決めた理由は都心からの距離感が私の住む地域と同じくらいで比較したかったから。今回の研究では家族生活を都市の位置や街づくりとともに考えているので、頑張って足を伸ばして滞在してみた。
 ここで海外からの観光客はまずみかけません。日本のガイドブックには出てないし、私が歩いているだけで目立ちます。本当に白人ばかり。ホストのおじさまははっきりいいます。「ロンドンはイギリスじゃない、ここを見ずしてイギリスは語れない、こういうところにたくさんイギリス人が住んでるんだ。」半分同意。
 
火曜と金曜は市がたつ
あいにくのお天気のなか街の中心地めざして歩く。今日は市の立つ日。雨だけどやってるかな、と心配だったけれども大丈夫でした。お客さんは多いとは言えないけれども。あまりの安さについ果物と野菜を買ってしまいました。オレンジひとやまで軽く一ダースくらいで1ポンド。イギリスは果物天国。「甘いよー」といってたけどほんとだった。
 人口数万人の交通不便な街がシャッター街にならずに生き生きとしている状態を目の当たりにして脱帽。車社会になったからしかたがない、って言い訳できないんだな。単純ですが、出店は規制が強く中心市街に集中しているからだと思う。といっても、大きいスーパーが近郊に作られて昔より中心市街は衰退しているそうだ。中心市街地以外の道にはいっさい自動販売機もなければコンビニもない。店がまとまっているから、人が必ず集まる仕組みになっている。ちょっと近くのコンビニ行くわ、ってわけにもいかない不便さを我慢しても、美しくまとまった街づくりを優先させている。
 付近には新しい住区の建設も進んでおりこの街は拡大中なのだ。すぐ近くにすばらしい自然公園がある。古い運河や散歩を楽しめる場所に囲まれているまさに田園都市。そのうえ全国有数の企業がいくつも近くにあり失業率は最低ランクだ。おじさまが、ロンドンには絶対住みたくないと力説するのも当然に聞こえる。こういう生活を愛するマインドの人がいるかぎり、この街は守られつづけるんだろう。

で、私の注目しているのは子育て環境なのでした。ここでも子どもたちはおおぜい育っている。田舎といえば高齢化、という日本とは全く異質で子どもをよくみかける。
美容院に保育案内
子育て環境も整っているようにみえますね。保育室と提携している美容院。広々と芝生の青い幼稚園(夏季休業中)。こじんまりとした保育園、少し足を延ばすと天気にかかわらず遊べるプレイパーク。バウチャーの使えるプレスクール....。なんでもありますよ。
 日本で同じような都心からの距離のあたりに、忽然とこういう生活環境があるだろうか。どうにも想像ができない。
日本だと、農村地帯では親族の助け合いが基本だということになってしまい、子育てを支援する施設が不足している場合が多い。だから外から親族のいない子連れが移住するハードルは結構高い。
ここにないのはなんだろう?
まだ思いつけないまま、ああ、明日はまたロンドンに舞い戻ります。
幼稚園兼子どもの遊び施設