高速道路の無料化と公共交通

JR各社が高速道路の無料化への反対を鮮明にしている。すでに1000円になった段階で死活問題になっている公共交通が続出中のようだ。最近、悲鳴があがっている地域の1つ、四国を訪れる機会があったので、この問題をいやおうなく考えてしまった。
季節のよい日、休日なのにJRに乗車すると確かに電車はガラガラ。降りてタクシーに乗れば運転手さんは客の少なさをぼやいてばかり。バスに乗れば大半の行程で専属運転手さんになっていただいて恐縮してしまった。公共交通機関がじり貧になっている実態を目の当たりにした。ところが、観光地に行くと遠方から自動車で乗り付ける客は結構いる。やはり人はみんな自動車で移動しているのだ。自分がまるで奇人変人になったかのような気分になってしまう。
私は自動車を所有していない。同居人もあまり自動車での移動は好きではないので、レンタカーも借りずに電車やバスで移動していたわけだが、これが結構大変なのも確か。実際、四国の公共交通は高い。事前にお得なチケットを探してみたが、ほどよい値段の周遊チケットはないことがわかった。四国内で安く周遊できるJR券を買うためには、途中全部を鉄道で移動して入らなければならない。大阪から淡路島経由で鳴門に移動したので、途中に高速バス(JRなのに)が入ったら、もうダメなわけ。なんという使い勝手の悪さ!これじゃよほどの熱意を持っている人でないとJRに乗ろうって気も失せると思う。しかたがなく乗ったけれど、散在することになった。
一番驚いたのは、たった1時間程度の場所に行くのにも、事実上特急の選択肢しかない時間帯が長いこと。そうするとちょっと足を伸ばすだけなのに、倍の運賃が必要になる。学生だっているだろうに、安く移動できない仕組みになっている。それに接続がとにかく悪い。松山から今治を通って「しまなみ街道」に行こうと思うと、高速バスとの接続はなぜか数分後れ。それほどマイナーな行程とは思えないのに。四国は観光地として著名なところなのだから、もう少しいろんな工夫があるかと期待していた。公共交通中心で回ろうという客に、手を差し伸べてくれてもいいのでは。
日本航空の様子をみていても思うけれど、結局ほぼ独占してやってきた企業は親方日の丸体質から抜けられないのかな。とにかく日本の飛行機や電車はすごく高く感じる。新幹線だって、客が減ってるっていうけど、あれだけ高かったら普通の人はそうそう乗れない。会社から費用が出るビジネスマンはともかく。私のように高速バスに乗る人が増えているのも当然だと思う。競合相手がいるくらいの方が、少し運賃値下げする機運も出てくるのでは、と期待している。
電車はエコかもしれないけれどお金がないと乗れない。お金持ちでなくても移動する自由を手にできる高速道路無料化はやはり必要だろう。そのかわり、二酸化炭素があまり増えないようにするには、ちゃんとガソリンに炭素税をかけてその分が鉄道利用者に回るような仕組みを作ればいい。その前に、JRは自動車か鉄道か少し迷っている人を鉄道に引っ張ってくるような商売のしかたをもっと考えてほしい。
そうそう、名古屋の市営地下鉄は近年乗客が増えて黒字化したらしいけれど、土日祝日の1日券に、いろんなスポットの入場券が割引になる特典をつけて「でら得」と宣伝してた(名古屋弁で、「どえりゃー得」の省略形)。これはなかなかいい企画だと思う。高松のレンタサイクルシステムはすばらしかったし、松山の伊予鉄は信じられないほど安くてサービスがよい。道後温泉というドル箱があるからといっても、やっぱりJRさんとは経営のしかたに差が感じられる。
JR様、政府に嘆願するまえにもう少しできることはあるんじゃないですか。