なでしこの強さの秘密はちょっぴり辛い

去年の男子ワールドカップ決勝では、オランダvsスペインが実現してスペイン勝利。今年はアメリカvs日本で日本勝利。願うことが簡単にかないすぎで怖いですよ、最近。女子のサッカーはいきがかり上ずーっと見てきたから、格別感涙もののはず。うーん、でも昨年のスペインの優勝ほどに、日本の優勝には手放しで喜んでいない自分がいて、ブログ書いてからじゃないと何も手につきそうになく、朝から書き込みしてます(笑)。
チームスポーツはわりと女子の方が日本は強いんですよね、ほかの種目も。サッカーはなんといきなり頂点に到達しちゃった訳で。(男子は私の生きているうちに達成してくれることを祈ってます)。ほっぺたつねりますよ、さすがに。朝早いしまだ自分が寝てるのかもしれないと瞬間的に思ったり。頭がぐらぐら揺れてる。
日頃授業でも「どうしてだと思う?」とジェンダーがらみで話してるんだけれど、女性の地位がめぐまれていないことにたぶん関係している。サッカーでいえば、アメリカでは子ども時代、女子の誰もがする手軽なスポーツ。大学には奨学金があり、プロコーチのもとで教わる。代表選手は基本的にプロリーグ所属です。日本だと代表に入ってる人でもプロ契約でない人もいる。なでしこリーグでさえ、費用が持ち出しになるチームだってある。まして給料もらえる場所はどんどん消えてる。いまは、比較的めぐまれていたころの余韻が選手層にもなんとか残っていますが、経済危機でTASAKIが消え、東電広告等のマリーゼも消滅。日テレもプロ契約消滅。これからどうするんだろう。海外いくしかないかも。
少女の頃はサッカー人口が少ないから男子と一緒にやることになる。そうするとやはり並ではすまない苦労もあったはずです。沢の頃はまだ公式試合にも出られなかった。その後認められるようになり、選抜にも入れるように制度が変わってきた。若い選手はそこで育っている。でも、苦労をかいくぐって続けてきても、先にあまり報償がない。昔ゴルフやってる誰かが「なんでサッカーなんてもうからないスポーツやってんのか、信じらんない」っていってましたね。
そうなんです。結局「お金稼いで一人前にならないと」という圧力は日本だと男性のほうにより強いので、その環境下でも女性だからこそ続けやすいんです。男子サッカーはだいぶましになりましたけれど、日本のチームスポーツの環境はホントに厳しいですから。しつこく、粘り強く、あきらめず、って試合だったけれど、まさにそういうド根性ある人しかそもそもサッカー続けられていない。ほかに少しよさげな職業など選べる人たちは、年代別代表経験があるほどでも、大学卒業年齢なるとキッパリ辞めてしまったりするのを見てきた。そういう発想がなでしこの人々にはまるでなく、とにかくサッカーが好きでそれに集中し、日々を捧げている。アメリカだとそうもいかないでしょう。サッカーは、むしろ人生をよくする手段、っていう面もある。待遇が良いから人が集まりかつ強くなる、ってことで、栄誉のためにじり貧でも続けるという人はそう多くない。ほかの国もそういうところがある。日本では、女性は他の職業世界でもたいして恵まれていないから、この厳しい待遇でもまあいいや、とかえって感じられる。
でも、今回活躍した日本の選手たちには金銭的にも、環境的にも恵まれた海外で経験を積んできた人が多い。さすがに自前のシステムでは限界があるということ。今シーズンから日テレが経営難からついに沢、大野、近賀たちのプロ契約を続けられず、INACに移籍することで、組織連携のピースがもう一つ埋まった(具体的には川澄との関係)のも、皮肉でした。結局ベレーザ的なるものが、あちらにも移植されたわけだから。岩清水はよい待遇とはいえない環境でも残ることを選択したのでしょう。なでしこサッカーは連携が必須なので、選手がスタイルを共有していないと成立しない。一方、アメリカは個であれだけ圧倒しながら、連携が未成熟で自滅していた。(攻撃しているときに、なぜかボールめがけて重なってしまうんだから、もったいない!)
待遇を底上げすれば強くなるわけではないのはわかります。厳しい環境はたしかに人を鍛える。いやー、それでもあの寂しい観客の状況を知っている身としては、複雑。男子でもリーグに人はそんなに入らないから、しかたがないとはいえ。(実際自分だってあんまり行けていない。名古屋にはなでしこリーグ所属チームがそもそもない!)さあ、これを機にぜひJリーグは女子チームを作ってください。あるいは、J2少し減らしてもいいから差し替えて(失礼!)。でないと、ほかの国が底上げされてきた時には、じり貧になり先々ここが頂点だったってことになりかねません。この感動が将来にもまた味わえますように。。。

あざとい節電キャンペーン

もう、電力会社に少しでも余分にお金を払いたくないから、アンペア契約を下げた。「節電に協力しなきゃ」ではない。私は引っ越すと最初にかならず契約を下げている。これで入居時の設定より半分となった。電気はそんなにもとから使う方じゃないけど、私はエアコンを我慢する、とかそういうことはしないから、ほどほどにね。
ようやくNHKにも「アンペアダウン」を呼びかけるNGOの話題が登場していたけれど、いまだにマイナーなまま(www.sloth.gr.jp/a-down/)。30年前からエコロジストには知られた方法なんだけどな。アンペア契約を下げると、電力会社はそれだけ普段から発電する設備を保有する根拠を失う。契約アンペア以上は電流が流れずに、各戸が停電するだけだからである。本気であれば、地域で大規模停電が怖いといって計画停電の脅しをかける前に、「おたくの契約アンペアを下げてはいかがですか?」と契約者に知らせることもできるはず。つまり大規模停電が起きる前に、小さな停電で止めてもらえばいいのだから。余分なアンペア契約を結んでいる人、事業者がたくさんいるから雪崩をうってアンペアダウンしたら、かなりの影響があるはず。でも、政府も電力会社も絶対そんなこと言わない。
昔から「でんこちゃん」のキャラクターを使うなど、電力会社は地球のために節電をしましょうキャンペーンをしてきた。いまも必死でアピールしているかのように見せている。嘘をつくのはいい加減やめてほしい。「原子力発電所で電気が発電できなくなると大変ですよ」「産業界はなりたちませんよ」「一律15%削減ですよ」と訴えることで、なんとか原子力発電の既得権益グループが延命を測ろうとしている。読売新聞は以前からカモフラージュをしつつ原子力発電推進報道をつづけてきたが、馬脚を現してなりふりかまわずに、「原発停止は日本経済の危機」論を煽り始めている。ほとんどのマスメディアは、この勢力の手先としてしか振る舞えていない。NHKの今日の原発討論でも脱原発派と推進派がいつものようにすれちがっていた。つまらなくて途中で止めた。NHKさん、まずは、「エネルギーの3割が原発」という間違った説明板つくらないようにすることから始めてください。無理無理動かして「電力の3割」を確保していると宣伝しても、1次エネルギーで考えるとせいぜい1割ですよ。いいかげんに勉強して区別つけてくれ。もしかしてわざと間違えた?だとしたら罪は重いなあ。いや、だからなんとでもなる範囲なんです。少し勉強したら誰でも理解できるから。環境統計集に少し古いけど「わが国のエネルギーフロー」http://www.env.go.jp/doc/toukei/contents/index.htmlっていうわかりやすい図がある。3割捨てている状態を減らす技術もすでに整っているんだし、再生エネルギー導入するのか?って大騒ぎしなくても、1割くらいすぐ減らせるって。この夏に猛烈に進む自家発電設備(コージェネ含む)導入で、いらなくなっちゃう前に、推進派があせって節電キャンペーンを煽ってる。はっきりいって迷惑。みんな素直に従い過ぎ。発送電分離せずに、高いお金を課して自家発電つくらせないことにして、一生懸命高い電気買わせられてる。消費者もいい加減怒ろうよ。
原発がほかの発電所とすごく違うのは、燃料費がほとんどかからないこと。だから、つくったらなるべく長いこと動かすと儲かる。だからって老朽化したものを酷使していいのか?遊園地なんかも設備つくったら動かし続けた方がもうかるけれど、それだとお客さんが来なくなる。原発はお客さんに見せるもんじゃないのをいいことに、動かし続けている。市場原理が全く働いていないのだから、規制する人たちが目を光らせないとだめなのに、事実上お友達でやってるだけ。
これじゃあ、どうしようもないのにもう「安全宣言」で動かすの?そりゃあないでしょう。首相の言っていることは最低限の話。なのに、マスメディアは相変わらず「ブレる」ってリークしつづける「経済産業省+財界+政治家」と首相周辺がせめぎあっているのでしょう。閣内不一致、ということを指摘しつづけるより前に、記者クラブに出入りして官僚となれ合って、当事者気取りを続けるのをやめてほしい。
規制でがちがちにかためて人々から選択肢を奪い、そして規制で守ってもらっているのにそのことを自覚もせず、自分たちが国を守っているんだというお門違いのナルシズムに浸る人々が、私は心底嫌いである。

祝!なでしこジャパン決勝トーナメント進出

久しぶりに気持ちのいい勝利。メキシコに4-0なんてさすがにそこまでは期待していなかった。うれしく楽しい気持ちでいっぱい。遠距離通勤帰りの疲労も吹っ飛びました。まあ、相手も若いしあまり強くなかったかもね。でも、ずーっと見てきた女子のサッカーだもの。ちょっとウルウルしてしまう。
パスワークはまだ完成系には至っていないけれど、スペースにワンタッチでつないでいくサッカーを女子であれだけやっている国はほかにない。ようやく女子サッカー界のバルセロナといわれるなでしこスタイルがみられたかな。男子のスペイン代表みたいな盛り上がりの中で優勝できることを祈ります。(パウル君2世を探していると言ってましたけれど.予測はどうかな?)
実際、バルセロナが中心となってサッカーのスタイルができているスペイン代表と同じ状況なんですよ。だって、ほとんどみーんなベレーザ関係なんですから。スタイルがそのまんまベレーザ。いまは所属がバラバラだけど。あれはわかりあってる人たちでやらないとできない。クラブのサッカーが基礎にあるから呼吸があそこまで合う。それに、代表の顔ぶれも固定化していて長いこと互いに知っている人が多い。岩渕だって普段から沢とやっていたわけで。こういうのは日本男子サッカー界は拡大したことでもうなくなってしまった。
だからこそ、すごく先行きは案じてしまう。バルサとちがって待遇がますますひどくなっているベレーザからは、今年から4人もの代表クラスの選手が移籍したし、福島のJビレッジで東京電力マリーゼは消滅。なでしこリーグの多くの選手は、アメリカのセミプロ以下の待遇かもしれない。ヨーロッパやアメリカで、お金をもらわずに代表クラスの選手がプレーしているという状況は、信じられないと思う。すでに何人もの若い優れた選手がサッカーやめたのを見てきた。男子がヴェルディのサッカーを中心にやっていた時代が終わって、どういうスタイルでやるのかずっと模索しているように、これから厳しくなるかもしれない。
いまサッカーを続けている選手はかなり根性入っている人ばかりだけれど、裾野は広がっていない。昔は日本の方が待遇がよかった時代さえあった。海外の待遇がそこまでよくなかった時代には日本と条件に差がなかったけれど、これからはいろんな面で格差が出て来てしまうのをとても心配している。
とにかくいまは、蓄積がある上に若手とベテランがうまく融合できた幸運な時代。日本の女子サッカーに歴史をつくってくれることを期待しています。